最近、「食べたものが次の日に出ているか、トイレの度に確認しなさい」と言われました。
そして「それを毎日の習慣にしなさい」と。
そう、今回は排便の話です。
大人になると他人とシェアすることは中々ないテーマですよね。
でも健康には欠かせない大事な活動。
健康をコントロールするためにも、しっかり知識をつけましょう!
食べ物が吸収・消化・排出されるまでのメカニズム

まず、飲み込んだ食べ物は食道を通って胃に運ばれ、胃液を分泌し、ぜん動運動によって食べ物を細かく撹拌。
1行で説明しましたが、ここまでで(消化の良いものか悪いものかにも寄りますが)、約1時間~2時間要します。
そして胃の中で細かくなった食べ物は、少しづつ十二指腸に送り込まれ、本格的に消化されていきます。
十二指腸では、胆汁や膵液によりさらに消化され、小腸へ運ばれます。ここまで約2~4時間を要します。
小腸では炭水化物、タンパク質、脂肪とビタミン、ミネラル、水分が吸収されます。
小腸は最も長い部分で6~7メートル有り、消化吸収は上部3分の1でほとんど行われます。
また、1日約9リットルもの水が小腸に到達して7~8リットルが吸収されています。
この工程に要する時間は4時間程度とされています。
栄養の全てが小腸で吸収された後、大腸に送られるものは消化吸収されなかったカスになります。
カスと言っても、水分が90%~95%を占る、ほぼ液状の物質です。
大腸でも1日500ml程度ですが水分を適度に吸収して便を調度良い硬さに調整しています。
そして便が直腸に到達すると、刺激が直腸に伝わります。
直腸に伝わった刺激により結腸が活性化してぜん動運動で便を直腸に送り込みます。
直腸は腸内の圧力を高めて排便の準備が完了します。
直腸に送り込まれた便が直腸の壁を刺激してその刺激は脳に伝わり、脳は便意というサインを発します。
脳が排便を指令すると腹圧がかかり、外肛門括約筋が弛緩し便が外へ排出されます。
個人差はありますが、食べ物が体内で形を変え、うんちになって排出されるまで約24時間かかると言われています。
消化は解毒作業でもある
食物に含まれる有害成分や体内で生成される毒素の多くは老廃物となり便として排出されます。
毒素の成分には、食品添加物、残留農薬、汚染物質など体外から入るもの、老廃物が長時間体内に留まることにより発生する毒素も含まれます。
有害物質やガス、活性酸素などの毒素を集め、便として排出する役割を大腸が担っています。
体にたまった毒素や老廃物をデトックスする、最大の経路が『排便』だというわけです。
便秘・・・体への影響
「便秘が体によくない」と言われる理由のひとつは、デトックスが妨げられるからです。
便秘がひどくなると、体内に毒素や老廃物がたまっていきます。
それにより腸内では活性酵素や、悪玉菌が増加。さらに、便も腐敗して、老廃物が増えていきます。
そして最も深刻なのは増えて溜まってしまうだけでなく、老廃物が腸の粘膜から再吸収され、再び体をめぐることなのです・・・!
まず影響を受けるのが血液!
便から吸収された有害物質が血液に混ざり、血液が汚れてしまいます。
有害物質が体内に巡ることで、様々な臓器にもそれが届くことになります。
そうすると、腸だけでなく他の臓器の動きも鈍くなり、身体の新陳代謝が低下していきます。
なんとなく体が重だるいような、様々な体調不良を招き、栄養素の消費活動も低下。太りやすくなってしまいます。
血液が汚れると、白血球が活発化して血液中の汚れを排除しようとするのですが、
白血球が活発になると血液は粘度を増してドロドロになるため、血流が悪くなったり血管が傷ついたりといったダメージを受けてしまいます。
血液が汚れてドロドロになると、腸内の悪玉菌の増加も促進してしまいます。
快便が身体にもたらす効果

快便=腸内環境が整っていて、老廃物をため込まない状態。
美肌効果
代謝を良くして老廃物を貯めないということは、美肌にも繋がります。美肌にはきれいな血液が大事です。
老廃物の排出が促進されることで、肌荒れの原因が排除され、肌をきれいに保つことが期待できます。
この排出サイクルを維持できれば、安定した美肌が手に入るはず。
こちらもぜひ参照して下さい。


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免疫力向上・健康効果
腸内環境が整えば、免疫機能がうまく働きます。
病気のもとになる菌の感染を防いだり、身体の中で最大の免疫器官でもある腸には、強い免疫細胞が多く集結しています。
その割合は全身の免疫細胞の60%以上にもなります。
腸の壁には絨毛があり、ウイルスや細菌を侵入させない働きをします。
腸内環境を整えることで絨毛や腸の免疫能力も正常に働き、アレルギー症状を緩和してくれる効果が期待できます。
毒の防止、血清コレステロールの低下などにも繋がります。
1日1回・・・それって便秘かも!?

快便の基本はツルンとスッキリ出ること!
踏ん張ったり、トイレに籠城するような事態は快便とは言えないのはもちろんですが、
1日に何回排便があるのが健康だと言えるのでしょう?
健康のバロメーターである排便、不調のサインを見極めるためには、自分の身体と向き合うことです。
便というのは私たちが前日に食べた食事の残りカスです。
前の日に食べたものが出ていることを確認すること、
出ない時に前の日何を食べたか思い出して、自分の体質的に消化に時間がかかる食材を知ることが大事です。
極論ですが、本来1日3回の食事をするのであれば、
お通じも1日3回あるのが理想的と言われています。
しかし排便というのは食生活やその人の消化器官の活発さによって個人差があるので、
1日3回排便しなくてはいけないということではありません。
適切な回数も人によって違ってきます。
スルンと出て「はぁ~スッキリ!」という快便感を得られているか、
残便感がないか、
を基準に
トイレに入るときは自分の身体の感覚をしっかり感じてみましょう。
下剤に頼らない!快便生活習慣

欧米人と比べて、腸が短く便秘になりやすいと言われているアジア人・・・。
快便が得られない人に多いのが、夕食の時間が遅いこと。
便秘に悩んでいるなら22時以降の夕食は避けた方がいいでしょう。
食べたものが胃の中にある状態で寝ると、内容物が停滞し、朝になっても腸が動きにくくなり、便秘が慢性化しがちです。
デスクワークで長時間座りっ放しも便秘の原因の1つになります。
前かがみの姿勢は腸が垂れ下がって押しつぶされ、便をスムーズに排出する動きを止めてしまいます。
就業中はこまめに席を立つ、腸マッサージを取り入れるなどして、意識的に腸に刺激を与えてみましょう。
蜂蜜で整腸

野菜を摂取して食物繊維の力を借りて、便秘を解消するというのが定番だと思いますが、
食物繊維は便の量を増やすことにも繋がり、便秘が慢性化している人には効果がないこともあります。
逆により腹部の膨満感を増長させてしまう可能性も・・・。
そんな時にもおすすめなのが蜂蜜です。
以下の成分が、お腹の調子を整えて便秘解消に有効だとされています。
グルコン酸
グルコン酸には、ビフィズス菌や乳酸菌・善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。
オリゴ糖
善玉菌のエサです。腸内の善玉菌を増やす働きに一役買っています。
トリプトファン
必須アミノ酸で、脳内物質の「セロトニン」を作る為に必要なものです。
セロトニン
セロトニンは、自律神経のバランスを整え、ストレス解消に欠かせない物質なので、セロトニンが増えることで、ストレスが原因の便秘を改善出来る、と言われています。
便秘に良い摂取方法としておすすめなのは温かい牛乳に蜂蜜を溶かして飲むことです。
牛乳に含まれる乳糖(別名ラクトース)には腸内の善玉菌を増やし排便を促進してくれる効果があるので
相乗効果が得られるはず。
乳糖不耐性で、牛乳が体質に合わない・・・ということがなければ、試す価値アリ!です。