毎朝「はぁーよく寝た!」とスッキリ目覚められていますか?
寝起きがしんどくなってきたのは老化のせい?
いいえ、睡眠の質に問題があるのかもしれません。
睡眠の仕組み

私たちは眠りについてから、どのような経過をたどって朝再び目覚めるのでしょうか。
睡眠とは、体と脳を休ませる活動と考えることができます。
その眠りは、「レム睡眠」と呼ばれる身体を休める眠りと、
「ノンレム睡眠」と呼ばれる脳を休める眠りの2種類に分類されます。

眠りにつくと、はじめは浅いノンレム睡眠があらわれ、時間とともに眠りが徐々に深まって、深いレム睡眠状態がしばらく続きます。
その後、再び浅いノンレム睡眠状態になり、レム睡眠へと移り・・・という変化を朝まで交互に、
大体3~5回ほど繰り返しています。
(上図の曲線は、睡眠の深さの推移を表しています。)
良質な睡眠とは、ズバリ
レム睡眠とノンレム睡眠が交互に入れ替わるリズムが取れて、
眠り始めの2~3時間しっかり深く眠れることです!
レム睡眠
レム睡眠の時、脳は浅い睡眠状態にあり、記憶を整理しています。
眠りに入ってから1時間ほど経つと、筋肉の動きが低下し、
次に左右に眼球が動く急速眼球運動 REMs(レムズ)=Rapid Eye Movements がはじまります。
この眼球運動の「REM<レム>」という頭文字から「レム睡眠」と呼ばれているそうです。
起床時刻に近づくにつれ、徐々にノンレム睡眠のよりもレム睡眠の時間が長くなり、深部体温も上昇し覚醒の準備をしていきます。
覚醒状態に近いノンレム睡眠のタイミングに目覚ましをかけたり起こされたりすると、
スッキリとしたな目覚めを迎えられるというわけです。
ノンレム睡眠
ノンレム睡眠は、脳を休めるための眠りです。
知覚、随意運動、思考、推理、記憶などをつかさどる大脳皮質や、
起きている間身体を活発に活動させる時に働く交感神経などを休ませています。
深部体温を低下させ脳の冷却のために身体から熱が放され、寝汗をかくのが特徴です。
ノンレム睡眠の間に、脳内で記憶の定着が行われたり、ストレスが取り除かれたりしています。
寝不足の時、眠りはどう変化するか
睡眠不足になると、ノンレム睡眠が優先される仕組みになっているため、レム睡眠の時間が少なくなります。
ここで問題になってくるのが、「記憶の定着」時間の消失です。
スポーツや楽器といった体を使って覚える技能はレム睡眠時に記憶されています。
寝る間を惜しんで練習しても、その努力や苦労に見合うほどには身につかないということです。
夜中に突然「ハッ」と目覚める、中途覚醒

一晩に何回も起きてしまう、熟睡していたのに突然「ハッ」と目が覚めてしまう・・・
この現象を中途覚醒といいます。
これが原因でいつも寝不足のような気がするという人は多いようです。
原因は主に人間関係や仕事、パソコンやスマートフォンの使用などによる様々なストレスだと考えられます。
ストレスは交感神経を刺激して体や脳を興奮させるので、
本来は睡眠の指令が送られるべき時に、脳から「覚醒せよ!」という指令が送られてしまうのです。
不安や緊張によって覚醒の指令を受け、脳幹では覚醒物質が作られ続けます。
その結果、睡眠が中断されるだけでなく、その後なかなか寝付けない負のスパイラルに陥ってしまうのです。
食後、強烈な眠気に襲われる

ランチの時間が終わって、さあ仕事再開!というタイミングで
抗えないぐらいの眠気に襲われる、魔の13時~14時。いや14時~15時も?
傍目から見ると怠けているみたいに見えるし、自分でもどうにかしたい。でもコーヒー飲んだくらいでは収まらず・・・。
こんな経験したことはありませんか?
これは、体内に食べ物が入ったことで消化、吸収しなければならないので、
胃や腸が活発に動いているために起こることと考えられます。
消化活動にエネルギーが必要なため、一時的に血液が消化管に集中し
脳に十分な血液が行かなくなることで、眠気を招いているのです。
身体の仕組上、ある程度眠気を感じるのは仕方がないことかもしれません。
20分程度のお昼寝は健康に良いのですが、一度お昼寝をして起きたら夕方・・・そして夜眠れないという状態に
なってしまうと、これは不健康です。
強烈な眠気を感じる場合、胃腸の機能が弱っていることが考えられます。
消化に大量のエネルギーや血流を使用した結果、脳の機能が鈍ってしまうのです。
あまりにも眠気に襲われて辛い時は、食事を消化しやすいものにしてゆっくり噛んで食べる、
夜寝る前はなるべく空腹状態にして睡眠中に胃の回復に努める等、食事のとり方を見直してみるとよいかもしれません。
修復
入眠およそ3時間以内に最も多く分泌される「成長ホルモン」を知っていますか?
壊れた細胞やDNA、組織などの修復、疲労回復・疲労物質の排出などを担ってくれる大事なホルモンで、
起きている最中も1〜3時間ごとに分泌されるのですが、就寝中の分泌頻度・分泌量がもっとも多いのです。
肌の修復・再生など美容にも関係しており、若々しく健康でいるためにもしっかりと分泌させるのが望ましいですね。

「成長ホルモン」は眠りについてから3時間以内に最も多く分泌されており、
特に最初の90分間に迎える深い眠り「ノンレム睡眠」の時にピークとなります。
成長ホルモンをたっぷりと分泌させるには、少なくとも3時間以上はぐっすりと深く眠れていることが必須!
十分な効果を得るためには良質な睡眠が欠かせません。
成長ホルモンの役割
成長ホルモンには筋肉の強化や骨の成長、バストアップ効果などの組織の成長を促す働きと、
疲労回復、脂肪燃焼、免疫力、体組織の修復などの代謝をコントロールする働きがあります。
また、日中の活動時に蓄積した老廃物や酸化物質の排出を促してくれます。
脂肪の燃焼を効率良いものにするのも成長ホルモンの役割です。
疲労やストレスを感じた時などには睡眠をよく取り、成長ホルモンを多く分泌させることが健康維持の秘訣です。
逆に不規則な睡眠で成長ホルモンが低下すると、病気になりやすくなり、肌の老化も早まり、太りやすくなってしまいます。
成長ホルモンの分泌を阻害するもの
成長ホルモンの分泌を阻害するもの、それはストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」です。
コルチゾールは、血糖値や血圧を調整したり、胃酸の分泌を促したりする役割を持っています。
特に朝起きる時に大きな役割を持っていて、起床前に多く分泌されるホルモンです。
だいたい起床の3時間程前から分泌され始め、起床時には分泌量がピークを迎えるのが通常のリズム。
しかし、寝る直前までストレスがかかった状態にいると就寝時にもコルチゾールが体内に残ってしまい、
眠りにつきにくいばかりか、眠りも浅くなってしまいます。
コルチゾールは成長ホルモンと似た働きを持つために、体内に残った状態で眠ると
「これ以上成長ホルモンの分泌を促さなくていい」と脳が指令を出し、成長ホルモンの分泌の方を抑制してしまうのです。
眠る前にはできるだけリラックスし、ぐっすり眠るための下準備をすることも大切となります。
遅くとも普段起きる時間の6時間前には眠りにつくようにしましょう。
今夜からさっそく!快眠の鍵!

体温をコントロールして眠気を誘う
40℃のお湯に20分くらい浸かって身体を温めます。
身体は通常、朝起きてから体温が上昇し、日暮れと共に徐々に体温が下がっていきます。
つまり体温の低下と共に眠気を感じるようにできているのです。
その眠気を感じるサイクルを、入浴によって意図的に作るというわけです。
お気に入りの入浴剤を入れたりして、好きな香りを楽しむことで、よりリラックス効果が得られるかもしれませんね。
夜は薄暗い照明に切り替える
実は、寝る前の時間帯に最も望ましい照明光の色はオレンジ・赤っぽい色なのです。
イメージとしては、ホテルの照明。
身体をリラックスさせ、睡眠へと導く「メラトニン」というホルモンは、
目から入ってくる光によって簡単に分泌が抑えられてしまうので、明るい部屋では中々就寝体制になれません。
スマートフォンやPCは寝る1時間前にオフ
電子機器のモニターから出るブルーライトは、朝日の光と同じと言われています。
夜遅くまで画面を見ていると、目から入った光によって身体が「朝だ」と誤解して体内時計が狂ってしまいます。
これまた「メラトニン」が分泌されず、眠りを妨げてしまう行動なのです。
できればテレビやゲームも、寝る1時間前には止めておきましょう。
仕事や悩みの考え事は、就寝1時間前からストップ
考え事が深くなればなるほど、眠気が遠のいてしまいます。
穏やかな入眠は、心や頭をからっぽにした状態で訪れやすいです。
どうしても考えてしまう・・・という人は
焦らずに、横になってまずは目をつぶってゆっくり呼吸してみましょう。
深く息が吸えているか、そしてそれをすべて吐き切って
新しい空気を体に入れられているか、自分の呼吸のリズムに意識を向けてみましょう。
ベッドの上でできる習慣を作る
ゆっくりボディクリームを塗る、お気に入りの写真集を眺める、
ストレッチをする、ゆっくり白湯を飲む・・・等々、
自分の気持ちがリラックスして、ゆったりした気分になれるものならなんでもいいです!笑
寝る前にのんびり、自分のために優雅な時間を設けることで
身体が休息モードに切り替えられるだけでなく、心も幸せな気分で満たされるはず・・・。
極上の眠りへと誘われるとともに、次の日もスッキリと目覚めることができるでしょう。

良質の睡眠によって、疲れを回復させ、すっきり目覚めることで
きっと見える景色はより鮮やかなものになるでしょう。
健康美を手に入れるためにも、素敵な明日のためにも、
できることからぜひ実践してみてくださいね。